旧ジャニーズ事務所(現SMILE―UP.(スマイルアップ))が、創業者による少年たちへの性加害を認めて7日で2年が経った。スマイル社の被害者救済のあり方や、性暴力被害者支援の現場への影響について、性暴力やDV被害者支援に詳しいフェリス女学院大の山本千晶准教授に聞いた。
――この2年で1031人が被害を申告し、558人が被害を受けたと認定され、補償を受けています。
これだけの被害があったという事実に、言葉が出ません。一方で、数字からだけでは見えないこともあると思います。まだ被害申告できない人もいるのではないか、ということです。
申告のハードルを高いと感じている人もいるでしょうし、そもそも「被害」と受け止められていない人もいるのではないか。そう考えるのが自然ですし、その数は未知ですね。
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――旧ジャニーズ事務所の問題が注目される最中に、性被害者支援の調査研究をしてきましたね。現場では、どんな影響があったと思いますか。
2021年度から、性被害者を支援するために自治体や民間団体が設置している複数の「ワンストップ支援センター」にヒアリングをして、性被害者の救済について研究をしてきました。ちょうどその最中に、ジャニーズ問題が報道されるようになりました。
報道後は、男性からの相談が増えたセンターもありました。また、女性からも「自分の過去の被害を思い出してつらくなった」といった相談もあったと聞いています。
また、若年層の相談も増加傾向です。これはジャニーズ問題の報道だけではなく、SNSで知り合った相手に性的な写真や動画を拡散すると脅してお金などを要求する「セクストーション(性的脅迫)」が増加傾向にあることや、23年に「不同意性交罪」の創設などの性犯罪をめぐる刑法改正があり、若い人が性暴力について知る機会が増えたことも一因だと思っています。
記事後半では、長年にわたって性被害を抱えてきた人ゆえの困難さや、そういった人への支援のあり方、スマイルアップ社の社会的責任についても意見を聞いています。
■被害を長年抱えてきた人特有…